透明水彩絵の具・青墨 使用
The Basics P.35
春風にサクラが揺らめいた一瞬を表現
花びらの一枚一枚が語り合っているようで愛おしい
揺らめいた花房以外は青墨で表現
インジーゴブルーから薄青の背景
透明水彩絵の具・青墨
The Basics P.35
萌えあがるサクラの命の輝き
背景はサクラの濃いピンクを生かすため、靄のような表現
中心となる枝に視線を集めるために、脇の枝は青墨で表現
水彩絵の具使用
The Basics P.35
月夜のしじま(静寂)に輝くサクラ
背景はサクラの花びらを美しく引き立てるために、エメラルドグリーンからウルトラマリンブルーへのグラデーションで表現
「The Basics」の内容をざっとご紹介。全国の書店及びネット書店にてご注文いただけます。しばらくは三省堂書店札幌店で山積みになっております。お急ぎの方はどうぞ。
2016年12月5日より1週間ニセコに滞在し、東山温泉から望む羊蹄山やヒラフから望む近隣の山を描いてみました。
ヒルトンニセコビレッジの客室より望む羊蹄
ニセコヒラフ木ニセコ 杏ダイニングより望む
来年は酉年。山口県天然記念物「黒柏鶏」を描きました。
簡単な鶏の描き方。しかし、下描きがないので線描きの練習が必要です。
踊るような筆使いで
筆は削用、色は顔彩
「技法書」はありますが、中学校では基本的な技法に次から次へと新しい技法を生み出して、大喜びしました。生徒もよく研究しますが、壁を乗り越えるのには、やはり先生の技も必要です。一緒に課題に立ち向かいながら随分と技を生み出しました。
「筋目描き」は伊藤若冲の十八番(おはこ)ですが、そんなこととは知らない中学生が、浮き出てきた白い線を上手に使って描いていました。「それは、筋目描きですぁ。若冲の技法とおんなじだよ。」と言うと、「若冲とおんなじだ!」と感激して、ずっと帰りの学活まで言い続けていました。他に俵屋宗達の十八番(おはこ)の「垂らし込み」も、そこここやっている中学生がいました。私も一緒に描いているので、私から学ぶ者、偶然にできた友達の表現法を自分のものにする者、にじみやぼかしの魔力にみんな魅せられたのでした。本当に水墨画の授業は自由で、驚きと感動、共有感があふれておりました。
私は授業では、生徒と巨匠をよくつなげます。恐らく中学校の先生方は皆さんやられていると思います。例えば、鉛筆デッサンでの陰影法はルネッサンスの産物です。「私たちはダ・ビンチやミケランジェロやラファエロの弟子だね。」と、巨匠と生徒を繋いできました。つながる、と言うことは心地よいものです。何を隠そう、私自身が「現代の雪舟」と名乗っておりました(大笑い)。
伊藤若冲の十八番である「筋目描き」は墨に含まれている膠(にかわ)が隣接する墨をはじきあうので、墨が乗らない部分が白く抜けることを利用した技法です。いろいろな表現に応用できます。何せ輪郭線を描かなくてもよいのですから。修学旅行で東京に行った教え子たちは、細々とした街並みを筋目描きで表現していました。偶然生まれた白い線に気をよくして。名前なんか知らなくてもいいのです。
これは被災地での思いを表現しました。抽象表現です。墨の垂らし込みによって、予想外のにじみや濃淡が表出し、人為の及ばないものと戦う私たちの心に近づけることができました。これはいいとは思っていません。技法の研究をするときでも「何を表すため?」という課題意識が大事です。ただ、思っているものと全然違うタッチが生まれて、別の作品に使えると喜んだことはあります。偶然性と言っても、予想しながら垂らし込みます。計画性が大事です。
ちなみに、垂らし込みは俵屋宗達の十八番です。今度「風神雷神図屏風」の銀粉を入れて練った墨の垂らし込みを見てみて下さい。私は腰を抜かしました。墨の膠が銀をはじく、スゴ技です。
これは本人の了承を得て、発表することにした作品です。授業中、私の存在を忘れたかのように描き上げた作品です。写真は見ていましたが、何よりも自分が見てきて感動したことを表したかったのでしょう。写実的に描きなさいとか、遠近法がとか一切言っていません。皆さん、中学生は恐るべしです。知的好奇心が旺盛になり、写実的に描きたくなるのです。そしてそれが好きなことなら、没頭するのです。先生は邪魔してはいけません。聞きに来たら、適切な一言を言ってやればよいのです。私は「お見事!」しか言いませんでした。まぁ、日頃より気心の知れた仲ではありましたが・・・。
いろいろなモチーフを墨で表現します。基本的に鉛筆で下描きをしませんので、モチーフの形取りでは、形を決定出来る線が引けるまで何回も練習します。描く紙の横に必ず試し描き用の紙を置いてください。
左から柿、猫足の筆洗器、硯
左下段から試し描き用の和紙、和紙(はがきサイズ)、菊皿、面相筆
硯で濃墨を磨った後は、菊皿の真ん中に一番濃い墨、左下から順々に薄めていきます。濃さのグラデーションを作っておくと描きやすいです。グラデーションの始まりはやりやすい位置から始めるといいですよ。
水墨画は鉛筆で下描きをしません。また一度濃い線を使ってしまうと、弱めたり薄めたりができませんので、薄墨から描き始めるとよいです。絶えず筆に含まれる墨がどんな濃さになっているのかを確かめるとよいです。菊皿には墨のグラデーションが作ってありますが、液体と描いた線では微妙に違います。
下描きをしていないので、何回もチラシで練習して形取りの練習をします。手前は濃い線。奥は薄い線で描くとゴロンとした感じが出ます。
筆のタッチを生かして、一気に調子を着けます。ぷくっとした感じが出ればいいなぁ、と祈るような気持ちで。
主題が「ぷくっとした柿を描こう!」でしたので、これで満足です。
瑞々しくておいしかったです。皿はベトナムバチャン焼き、お盆は春慶塗、フォークは津軽塗です。
確かハノイからハロン湾に行く途中に、バチャン焼きの村があります。私はバチャン焼きが好きです。全て手描きで、呉須らしい藍色が何とも深くて美しいです。10年前写真の2皿を300円で買いました。3,000円の間違いでは?と思った程お安かったです。
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